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2009/10/16

宇宙線を見る:霧箱と泡箱(国立科学博物館)

国立科学博物館:霧箱宇宙線を見る装置としては、他に「霧箱」という装置があります。英語ではクラウドチェンバー といいます。この装置もいろいろな科学館に設置されています。
アルコール蒸気を飽和状態に入れた断熱容器を過冷却状態に冷やしておいて置くと、その中を宇宙線が通過します。
その宇宙線が通過した部分のアルコール蒸気が、宇宙線に刺激されて小さな水滴(アルコールの雲)となって、白い雲の筋として見ることが出来ます。

国立科学博物館:霧箱宇宙線は絶え間なく、いろいろな方向から通るのと、装置自体や設置してある建物を作っている材料などからの放射線も出ていて、これらにも反応するので、良く出来た霧箱の中には、絶え間なくもやもやと線が走ります。
この霧箱は東京の国立科学博物館の新館地下三階にある大型霧箱装置で、国内でも五指にはいる大きさです。(最大の霧箱は東海村にあります)
国立科学博物館の霧箱の設置場所は地下三階で、地上から20m近くも深いので、こんな地下深くまで、どれほどの宇宙線が届くのだろうか?との心配もありましたが、事前に小型の霧箱を持ち込んでの実験でも、十分な観察が出来ました。
裸の霧箱装置 裏側の冷凍装置
上の写真は、国立科学博物館の工事のときに撮影されたもので、左側の写真は、表のカバーが取れた裸の状態で、四つの脚の霧箱が見えています。右側の写真では、壁面の裏側には2台の冷凍機が設置されていて、強力に霧箱を冷やします。
国立科学博物館:水素の泡箱また、似たような装置として「泡箱」という装置があります。宇宙線よりも強いエネルギーを持った粒子を観察するための装置で、極低温にした容器に液体水素を満たして、そこに加速器で加速した高エネルギー粒子を打ち込むと、その粒子の刺激で、液体の水素が気体となって泡の筋として残ります。その時の泡の筋を観察して、粒子の通った経路を調べるのです。
この水素の泡箱は、「高エネルギー研究所(KEK)」が1972年に製作した日本初の水素泡箱で、国立科学博物館の新館地下三階に展示されています。
この泡箱で観測された写真などが「函館酸素株式会社」のサイトで紹介されています。
なお、最初の霧箱の写真の両側に写真がありますが、左側の写真は同じく高エネルギー研究所(KEK)で、素粒子の解析に使われている「BELLE測定器」の写真で、右側は、宇宙から降り注ぐ「ニュートリ」ノを観測するための「スーパーカミオカンデ」の写真と、カミオカンデで使われている「光電子増倍管:ホトマル」の実物です。
つまり、このコーナーに、宇宙線や素粒子などを検出するいろいろな方法や実物がまとめて紹介されているのです。