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2009/10/31

超流動という不思議な現象

超流動状態の液体ヘリウム「超流動」という不思議な現象があります。「超伝導」という現象は時々新聞などでも話題になっているので、皆さんも聞いたことがあるかと思いますが、超流動というのは、私もはじめて聞いた名前だったのですが、超伝導と同じように、極低温の中で起きる特殊な現象です。

この「超流動」という現象は、流動という言葉からも想像されるように「液体の粘性の抵抗が無くなる現象」ですから、本当にサラサラな液体状態になります。
超伝導は電気抵抗がゼロになって、リング状の電線を作って流すと永遠に流れ続ける現象ですが、超流動も理論的には丸い水槽に入れて回せば回りの容器との抵抗が全く無いために永久に回る「ハズ」だそうです。

また、超流動状態では、容器に入れた液体が、その容器のフチを伝たわって昇って下にこぼれ出したり、一部を加熱しても、瞬間に他方にも伝わったり、通常の液体の状態では通れないような狭いすきまを通り抜けたりする現象が見られるそうです。

ここの写真は分かりにくいと思いますが、2008年の埼玉県の理化学研究所の一般公開でやっていた超流動のデモンストレーション実験の様子です。

超流動状態の液体ヘリウム全体の構造はこの右の図のようになっています。
魔法瓶のような真空のガラス断熱容器の中に液体窒素(-196度C)が入っていて、またその中に同じガラスの断熱容器の中に液体ヘリウムが入っています。
超流動現象は、この液体ヘリウムの中で起きているのです。
写真では、泡がたくさん見えていて、分かりにくいかと思いますが、この泡は外側の液体窒素が沸騰している泡で、その泡の向こう側に見える静かな液面の部分が超流動状態の液体ヘリウムです。
超流動状態になると、沸騰状態にならないで、静かな液面になるそうです。

中ほどに吊り下げられているガラスカップに入っている液体ヘリウムがフチから伝わって、下にしずくが出来ている様子が見えます。
カップからこぼれる液体ヘリウム 豆電球で加熱実験 豆電球で加熱実験
また、小さな電球が点いている写真は、超流動状態の中で、豆電球をつけて加熱しているのです。この熱が別のところに瞬間に伝わる実験などをやっていました。
装置には噴水実験用のノズルなどもついていましたが、その時は見られませんでした。

超流動についての正確で詳細な解説は以下の東京大学のサイトに書かれています。興味のある方はどうぞ。《東京大学のサイト