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2011/11/01

地球に太陽を作る!=核融合科学研究所を見学してきました。

核融合科学研究所 本館岐阜県土岐市に「核融合科学研究所」とうい施設があります。ここでは、未来のエネルギーとして期待されている「核融合」のエネルギーを取り出すための研究をしています。
核融合反応というのは、水素などの軽い原子核を、超高温(約1億度)で、超高密度な状態の中に閉じ込めると、原子核同士が融合して、別の元素が生まれる現象で、そのときに質量が変化するために巨大なエネルギーを放出するのです。このエネルギーが利用出来れば、人類は地域に偏在しない、無尽蔵のエネルギーを得る事が出来ると言われています。
現在の原子力発電所で利用されている「核分裂反応」ではないので、核融合反応は、はるかに安全性が高いのです。

阪大レーザー核融合装置核融合を起こすには、レーザー方式やトカマク方式など、いくつかの方式が考えられています。
国際核融合プロジェクトで進められているITERでは、トカマク方式が採用されて、現在建設が進んでいます。
この核融合科学研究所で研究されている方式は「ヘリカル装置」という方式で、まだ世界では少ない独自の方式です。

この大型ヘリカル装置というのが、とても特色のある装置なので、以前から、とても興味のある施設だったので、行きたいと思っていたのですが、ようやく見る事が出来たので、紹介させていただきます。

大型ヘリカル装置制御室 大型ヘリカル実験装置 周辺に並ぶ装置
まずは、一般公開日です。春に福島での原発事故による放射能被害が、まだまだ収束していないなかでの一般公開ということで、「核」という名前が付いているだけでも、世間からいろいろといわれる事が多いので、研究所の気の使い方は大変なものでした。
エントランスでは、研究所の方々が案内パンフと、お土産のLEDランプが入ったフクロを配っていて、中へと続く通路では地元高校生の科学発表などがならんでいました。研究所としても、以前より高校生との科学の教育普及活動をしているそうです。

3DバーチャルでLHD 大型ヘリカル装置部分試作 クント管の実験展示 
通路に沿って、いくつかのパネルが並んでいがのですが、これらは、もっぱら「核分裂とは違って、核融合は、このように安全です・・」という内容です。
たしかにそれはよく分かるのですが、私の見た限りでは「そもそも核融合というのは何?」という説明が足らないのでは・・という印象でした。
「暴走はしません」「安全です」といのも大切ですが、核融合という科学の反応を、もう少しちゃんと紹介して欲しいと思いました。
また、核融合による発電となると、まだまだ先の話で、聞くところによると「30年はかかる」とも言われています。この30年というのは、昔から(30年前から)言われていたことで、逃げ水のように30年経った今日でも、まだ実現していません。
確かに、超えなくてはならない技術の壁は高く、数も多いでしょうが、年度ごとの目標と、それらの達成状況がどうなのかを、評価が難しいとは思いますが、もっと紹介する必要があると思いました。

とまあ、そういういろいろなパネルを抜けて、入ったのが、大型ヘリカル装置の実験棟です。
とにかく巨大な装置ですから、建屋も巨大です。そして、実験装置なので、いろいろな実験装置がドーナツ状の核融合装置の周囲に所狭しと並んでいるのです。
ですから、部屋に入った状態では、周辺装置が見えるだけで、大型ヘリカル装置自体は、ほとんど見えませんでした。

公開は、この10月の末の一日だけでしたが、近隣から多くの方が見学にこられて、研究所の話では6000人の方に来ていただけたとの事でした。