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2009/11/05

ライン川で見つけた渡し舟の写真

ライン川で見つけた渡し舟の写真この古びた写真は私が学生時代に(38年も前の話・・)ヨーロッパに貧乏旅行をしていたときの写真で、かなり汚れていますが、とても大切にしている写真で、いつも私の手帳に入れてあります。
スイスかドイツだったかのライン川で見つけた渡し舟の写真です。

この渡し舟は、手前の桟橋から船に乗ると、船頭さんが「よっこらしょ!」と舟の前にある大きなL字型のレバーのような物を、バッタンと倒します。
渡し舟のズームアップすると、舟は音も無く静かに動き始めて、対岸へと進みます。その間、船頭さんはタバコをふかしているだけで、魯を漕ぐわけでも、舵を取るわけでもありません。
やがて、しずかに対岸に着いてお客さんは降ります。
つまり、全くエネルギーを使わないで、河を行ったり着たりと渡るのです。
このエネルギー不要の秘密は、この舟が川の流れのエネルギーを利用しているからなのです。

無エネルギーの渡し舟図で説明しますと、舟の先頭にあるL字型のレバーのような装置がカギなのです。(図をクリックすると詳細図)
1番の図のように、桟橋に接岸しているときは、川の流れに対して船は斜めになっていて、桟橋に押されるような力が働いているので、桟橋から離れる事はありません。
2番のようにレバーをバッタンと反対側に倒すと、3番のように舟の傾きが逆になって、川の流れの力で反対側へと移動する力を受けます。
そして、4番のように、船頭さんは何もしないでも河をわたって、5番のように反対側の桟橋に接岸するのです。
もちろん、帰りは、またレバーを反対側にバッタンとすればシズシズと動き始めます。

とても素晴らしい工夫ですね。
いろいろな科学の法則等を頭で理解しているだけではなくて、このようにさりげなく生活の道具として利用出来ることが、本当に科学的な考え方だと私は思っています。
そういう話をしたいと思って、いつも手帳にこの写真を入れていて、人に見せたりしています。

この渡し舟は今でもあって、今では写真のようなさびれた船着場ではなくて、立派な観光地となって、豪華な舟になっています。
バーゼルの渡し舟
L字型のレバー部分が写っている写真
また、日本でも明治30年頃に「岡田只治」という人が、このような渡し舟を発明しています。岡田只治の渡し舟