先の東北関東大震災で、日本標準時を発信している福島県のおおたかどや山標準電波送信所が発信を停止(停波)していました。
そのため、北日本で電波対応の腕時計や目覚ましなどを使っている人たちが大変に不便していると聞きました。
確かに標準電波を受信して自動調整されるように作られているので、電波が来ないとなると、大きくずれたりすることもあるようです。(私は電波時計は持っていないのでわかりませんが)
このような手元にある電波時計をiPhoneを使って時刻を修正しようというフリーソフトだそうです。
このソフトは以下のサイトで公開されています。
電波時計用JJYシミュレータ
その原理を簡単にご紹介します。
おおたかどや山標準電波送信所が発信している標準電波は「40kHz」という長長波です。一方、スマートフォンのiPhoneには通話以外の電波発信機能はありません。
それなのに、どうやって電波時計に電波を出して時刻を合わせられるのかというと、なんと「音」をヘッドホンに出して電波出しているのです。ここが、このソフトの作者の発想の凄いところです。
ただ音は空気などの粗密を作って伝播し、受信するのも空気などの粗密をマイクの振動板で受けて信号に変換しているのです。
また、電波は電磁波ですから、空気の振動で代用することは出来ません。
しかし、音を出すにはスピーカーやヘッドホンなどのコイルを電気振動で振動させて音を出しています。
そのとき、コイルを動かす電気振動は、実はヘッドホンのコードから弱い電磁波を出しているのです。そのヘッドホンのコードから出る電磁波を利用しているそうです。
耳で聞こえる音(ここでは13.333KHzの音)をiPhoneからヘッドホンに出力します。すると、ヘッドホンのコードからは弱い13.333KHzの電磁波が放射されています。
音でもそうですが単一の周波数でも、その倍や3倍などの整数倍の波も出ているのです。そのため13.333KHzの電磁波の3倍の39.99kHzの電波も出ていることになり、まさに東日本の標準電波と同じ周波数になるということです。(詳細な原理はこのソフトのサイトに書かれています)
標準電波が長長波だからこそ出来た裏技とでもいうべき発想ですね。すばらしい!!