さて、その放射光という光は、普通のランプなどの光とどこが違うのかというお話です。
まず放射光の特徴として大きなのは、次の2点です。
1.遠赤外線域の長い波長から可視光、紫外線、エックス線、そしてガンマ線までの短い波長までの幅広い光成分を持っている。
2.光の指向性(平行性)がとても強くて、光ビームの大きさが広がらない、非常に明るい光なので、分光して特定の波長の光を取り出したり、小さな試料の光分析をするのに使いやすい。
この1番の、「広い波長域の光」という事ですが、放射光は広い波長域全体に、ほぼ均一の強さを持っている光なのです。
通常の白熱球などの光ですと、下の図のように青い光の成分は少なくてパワーも弱く、赤色の光成分は多くて、とてもパワーも強い特性があります。それに比べてけい光灯の光は、紺、青と緑、黄色の光が尖がってパワーがありますが、それ以外の光はなだらかな山を描いています。
[白熱電球の光] [けい光灯の光]
それに比べて放射光の光と言うのは、下の図のように、幅広い波長の光が含まれていて、それら全ての波長でパワーが強い光なのです。
注意:この図は、たとえばこんな感じ・・というイメージ図です。放射光の分光分布図ではありません。
つまり、放射光はこのように幅広い波長域に渡って、均一な非常に明るい光なのです。そのために、いろいろな物質に光を当てて、調べるのに、とても都合が良いのです。
※画像の引用について
・放射光の写真は、分子科学研究所 「UVSOR」のサイト http://www.uvsor.ims.ac.jp/introduction/ より使用させて頂いています。
・電球の分光分布図については、「アカリセンター」サイト http://www.akaricenter.com/ より使用させて頂いています。